「環境を整える」と聞くと、手すりやクッションを思い浮かべますよね。それも大正解。でも、おうちリハが大切にしている環境設定は、もう少し奥にあります。整えるのは、モノだけじゃない——その人の“力”そのものです。

① まず、モノと空間(いちばん分かりやすい)

椅子の高さ、クッション、手すり、足元のスペース、明るさ。——周りをほんの少し変えるだけで、「できなかったこと」が「できること」に変わります。

大事な考え方はひとつ。道具は「楽をさせる物」ではなく、「本人の力を取り戻す物」。座面を少し高くするのは、サボらせるためじゃない。本人が自分の足で立てるようにするためです。同じ道具でも、目的が真逆なんです。

② そして、いちばん効くのは「役割・歴史」の環境

ここが、おうちリハがいちばん伝えたいところ。環境設定は、モノや空間だけじゃない。「その人が“誰だったか”」を取り戻すことまで含みます。

やる気は、「リハビリしましょう」では生まれません。その人の歴史・役割から、自然に湧いてくるものです。

🗣️ りはすけのひとこと 現場で私がよくやっていたのは、“お願いする”ことでした。主婦歴の長い方には「お皿を配るの、手伝ってもらえますか」「洗濯物、たたんでもらえますか」。社長だった方には、挨拶の相談を持ちかける。
何十年もやってきたことは、体が覚えています。「ケアされる人」から「頼られる人」へ——役割が戻ると、人は自然に動きます。

だから家族にお願いしたいのは、お父さん・お母さんを「できない人」ではなく「○○だった人」として見ること。昔の仕事、趣味、得意だったこと。そこに、力を引き出す入口があります。

③ 入口は「自然に」つくる

環境を整えたら、最後は誘い方です。「運動しましょう」より、目的のある動作で。「この靴、履いてみて」「床のこれ取って」——気づけば体が動いている。本人に“やらされた感”がないのが、いちばん続きます。

まとめ|環境設定とは

  • モノ・空間を整える(椅子・クッション・手すり・スペース)=力を取り戻す道具
  • 役割・歴史を取り戻す(“できない人”でなく“○○だった人”として見る)
  • 自然な入口をつくる(指示でなく、目的のある動作で)

= 整えるのはモノだけじゃない。その人が「自分でできる」を取り戻す、すべて。これが「介助しない介護」の土台です。

この記事はおうちリハの基本的な考え方をまとめたものです。実際の環境づくりや道具は、ご本人の状態によって適否が異なります。個別のことは医師・ケアマネジャー・担当のリハビリ専門職にご相談ください。