朝の起き上がり。寝ている親の腕を持って、真上にグイッと引き起こしていませんか。これは介助する人の腰を痛める一番の原因。しかも、本人の「自分で起きる力」も奪ってしまいます。

真上に引き起こすのが、なぜダメなのか

あおむけのまま上半身を持ち上げるのは、いちばん重くて、いちばん腰に負担がかかる動かし方です。人が自然に起きるときは、真上ではなく「横を向いて、足を下ろし、その重みを使って起き上がる」——“てこ”の動きをしています。

“てこ”で起きる(本人の力を使う)

動ける程度によって関わり方は変わりますが、基本の流れはこうです。

  1. 横向きになる。まず体を横に向ける(向きたい方向へ)。
  2. 両足をベッドの外へ下ろす。下ろした足の重みが、起き上がりを助けるおもりになります。
  3. 下になった腕(肘)で押す。足の重み+肘で押す力で、てこのように起き上がる。介助者は背中に手を添えて軽く誘導するだけ。
ベッドの高さや背上げ機能を使うと、本人の力でぐっと起きやすくなります。柵や手すりを“支点”にするのも有効です(手や体を挟まないように注意)。
💬 こんな声かけを 「起きて!」より「まず横向きになってみましょうか」。大きな動きを一気に求めず、小さな一歩を声で確認しながら進む。「足、下ろせましたか?」「そう、そのまま肘で押してみて」——声かけが、本人の“次の動き”を引き出します。

「全部やってあげる」より「どこを助ければ起きられるか」

ここがリハビリの視点です。最初から全部介助すると、本人ができることまで奪ってしまいます。大切なのは——

「背中を少し支えるだけで起きられる?」「足を下ろすのだけ手伝えば?」と、助けが必要な“一点”を見つけること。本人の力を使う形が見つかると、それがくり返すうちに本人も家族も“起き方”を覚えていきます。介助は、衰えさせるためではなく、できる力を保つために使えます。

起き上がったあと、ベッドの端で安定して座っていられるかまで見てください。お尻が端に寄りすぎているとそのまま転落することがあります。ふらつく・倒れそうなときは手を離さず、無理せず専門職に相談を。どこまで自分ででき、どこを助けるべきかは、ご本人を見て一緒に確かめるのがいちばんです。
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🗣️ りはすけのひとこと リハビリの仕事は、動かない体を魔法のように起こすことではありません。「どこを少し支えれば、この方は自分で起きられるか」——その“一点”を探すことです。
一点が見つかると、朝の介護が別物になります。あなたのお父さん・お母さんにも、その一点があるかもしれません。ベッドの高さを見直すだけで変わることもあります。探すときは、ぜひ専門職と一緒に。

まとめ

  • 真上に引き起こさない(腰を痛める・本人の力を奪う)
  • 横向き→足を下ろす→肘で押すの“てこ”で起きる
  • ベッドの高さ・背上げ・手すりを活かす
  • 全部やらず“助けが要る一点”を見つける=本人の力を保つ
  • 起きた後の端での安定・転落に注意
この記事は一般的な考え方をお伝えするものです。安全な起き上がりの方法はご本人の状態によって異なります。具体的な方法やベッド・用具の選定は、ご本人を見たうえで医師・ケアマネジャー・理学療法士・作業療法士にご相談ください。